「雪がふっている」とブルーノ・ムナーリ

暑い夏もいつしか去り、大型の台風も通り過ぎ、だんだん秋も深まってきました。

そろそろ冬支度のことを考える時期になりました。

少し早いけれどクリスマスのプレゼントのことなども考えようかという気分にもなってきたのではないでしょうか。

そういう方のためにタムラ堂が昨年末に出版いたしました『雪がふっている』をおすすめします。小さな白い本、絵のない「絵本」です。レミー・シャーリップ・作、青木恵都・訳、装丁はセキユリヲさんです。詳しくはこちらへ

 

この本は、レミーが親交のあった音楽家ジョン・ケージに捧げたという話は有名ですが、もうひとつのエピソードをご紹介します。レミーから IT LOOKS LIKE SNOW (『雪がふっている』)を贈られたブルーノ・ムナーリは、大いに触発されて『白ずきんちゃん』(Cappuccetto Bianco)

という絵本を返礼の意味もこめて作りました。

雪の中の「赤ずきんちゃん」ならぬ「白ずきんちゃん」のお話。

やはり真っ白な本です。(上の写真)

 

レミー・シャーリップのしなやかな感性がムナーリの心に響いたのでしょう。

本づくりの斬新さ、読者のイマジネーションによってのみ成立するという大胆な仕掛け、

「絵本」の可能性を極限まで広げる驚くべきたくらみ。

まさにムナーリがめざしたものでもあったのです。

 

なお、日本語版『雪がふっている』は、レミーがこの作品に込めた思いを

より美しく繊細な形で表現しようとしました。

シンプルな日本語訳、美しい文字印刷(亜鉛凸版)、手触りの柔らかな用紙、

手縫いの製本など、心を込めて制作しました。

レミー・シャーリップとブルーノ・ムナーリに見てほしかったです。