パリ、ボローニャ紀行(5)

ボローニャ・ブックフェアーは、これまでに『夜の木』をはじめ、いろいろな出会いがあった特別な場所です。
今回、6年ぶりに訪れました。

会場に足を踏み入れた感想としては、雰囲気は6年前とあまり変わっていないものの、以前よりもパワーがダウンしているような気がするということでした。

前から感じていたことですが、世界の絵本が均一化しつつあるように思えます。それも、マンガ的な派手なもの、デザイン優先のものなど、読者である「子ども」への真摯な視点が欠如しているような印象を持ちました。

 

そういう中で、小さな出版社の思い切った出版活動にどうしても目がいってしまいます。

インドの tara books も、フランスのMeMoも、そんな元気のある出版社です。

韓国にも somebooks など面白い出版社があります。

今回、tara books のブースで、ギータさんとの再会を果たすことができ、

新刊の企画の話も聞くことができました。

 

それにしても、やはり世代交代なのですね。

知り合いのベテラン編集者たちもその姿をだんだん見なくなりつつあります。

今回、フランスの l'ecole des loisirs 社の編集責任者のアルチュールと

会食できたのは嬉しいことでした。

あなたは伝説的な編集者ですね、と冷やかすと、年をとっているということだろう、

と笑っていました。その彼も、いつまで現役を続けられるか…。

まだまだがんばってほしいです。

 

結局は、ブックフェアーでは、新刊本の情報を得るというよりも

(情報だけでしたらネットで得ることもできますから)、

人と出会い、意見を交わしたりすることこそが、

得難い体験であるということを改めて確認しました。

そういう意味では、今回、具体的な収穫があったというよりは、

がっかりしたり、不満を感じたりしながらも、さまざまな刺激を受け、

これからのことを考えるいくつかのヒントを得ることができた

ブックフェアーであったと思います。