パンの話 (「旅のかけら」番外編)

世の中には、パン好きの人が、それも、かなりマニアックなパン愛好家(「愛パン家」というらしいです)が、大勢いるということに気がついたのは最近のことです。

おいしいパンを食べるためなら、どんな苦労もいとわない人たちが思いのほか大勢いるのを知って驚きました。

焼き具合をチェックし、匂いをかぎ、口に入れて感触を味わう。噛みしめて陶然としたり、あるいは、不満気に顔をしかめたり、というようなことを日常的にやっている人たちが本当に大勢いるのです。

本屋さんでもパン関する本やおいしいパン屋さんのガイドブックが並んでいます。

 

「パンラボ」の池田さんの話を聞くと、パン道を極めようという執念のようなものさえ感じます。

すごいなあ、パンは奥が深いなあ、と感心してしまいます。http://panlabo.jugem.jp/

 

ぼくがパンの美味しさに感動したのは、初めてパリに行って、

朝食のバゲットを食べた時です(そういう人、多いみたいですね)。

安いホテルの朝食でも本当においしかった! 

以来、パンには注意を払うようになりました。

決してマニアックなパン愛好家ではありませんが、

パン屋さんの前はちょっと素通りできませんね。とくにハード系が好きです。

 

9月にフランスに行ったときも、パンをあちこちで食べました。

やっぱりおいしいなあ、と感激しましたが、その一方で、

あれ、なんか今までと違うぞ、とも思いました。

気のせいかも知れません。皮がぱりっとしているのは変わりませんが、

中がなんだかもっちりしているのです。

 

まず、アルザスの町、コルマールのレストランで気が付きました。

でも、これはアルザス風なのかもしれないとも思いました。

ところが、です。その後、パリで人気のパン屋さんのデュ・パン・エ・デジデの

パン・デ・ザミ(右上写真)というパンを食べた時にも同じように感じました。

なんだかもちもちしているなあって。

これが今フランスのパンのトレンドなのでしょうか。

 

これはこれで、すごくおいしいのですが、でもなあ…、

というやや複雑な感想を持ちました。

かつて初めてのパリで食べたあのフランスパンの食感に

いまだにとらわれているのかも知れません。